第47回 気象予報士試験 実技 <解いてみよう> 実技1問2

第47回 気象予報士試験 実技 <解いてみよう> 実技1問2

実技1問2

問題文(1)[1]

図9で12時間後に関東の南海上で予想されている降水域について、以下の問いに答えよ。

[1]この降水域は、図1 で四国沖にある低気圧に伴う前線におおむね対応している。図5を用いて、解答図に、12時間後に予想される850hPa における温暖前線と寒冷前線を、前線記号を用いて記入せよ。なお、前線の種類を表す記号は必ず塗りつぶすこと。

 
前線解析の問題です。図5の850hPa相当温位・風12時間予想図を見てみましょう。

明瞭な相当温位線集中帯が確認できます。地上ではなく850hPaの前線を描写するので、この集中帯の南側に前線を引けば完成です。風向シアーとの対応も不自然ではありません。前線解析問題の中では比較できと解きやすい問題だと思います。

ほぼ、339Kの相当温位線に沿っています。前線の構造を考えると、解答例のように温暖前線と寒冷前線の接続部分を尖らせら方がより適切だったと思います。

問題文(1)[2]
図5の地点m と地点n における相当温位には大きな差がみられる。その差の要因を図33および図6を用い、気温と水蒸気量に着目して25字程度で述べよ。

 
まずは、図3の850hPa天気図を用いて、気温に着目してみましょう。

問1でも確認したように、この低気圧周辺は等温線の間隔が広く、気温傾度が小さくなっています。「n」と「m」の位置に着目すると、どちらも15℃と18℃の等温線の間にあり、温度差が小さいことがわかります。一方で、相当温位は「n」と「m」の間で、大きな差があります。相当温位とは、気温と水蒸気量によって決まる値なので、気温差が小さいのに相当温位差が大きいということは、水蒸気量の差、すなわち、湿度の差が大きいということになります。

私の解答は
気温差は小さいが、湿度差が非常に大きいため。](22字)
としました。

解答例は
気温の差は小さいが水蒸気量の差が大きいため。](22字)
でした。

なんだ、そのまま、水蒸気量の差が大きいためで良かったのか。

問題文(1)[2]
図5の関東地方南部から南東にのびる相当温位傾度の大きい領域を挟む風分布の特徴を、風向を示して35字程度で述べよ。

 
南東に伸びる相当温位の大きい領域なので、温暖前線のことですね。ここの北側と南側で風分布がどのようになっているか、実際に見てみましょう。

相当温位線集中帯の北側で南東の風、南側で南南東の風となっていて、風が収束している様子が見て取れます。

私の解答
相当温位傾度の大きい領域の北側で南東の風、南側で南南東の風であり収束している。](39字)

解答例は
北東側は南東風、南西側は南風が吹いており、その境に明瞭なシアーがある。](35字)
でした。

シアーとは風向や風速の変化のことを示す言葉なので、収束しているということは、シアーが存在するということです。収束と書いても正解になると思います。

問題文(1)[2]
図6を用いて、700hPa において関東地方南部から南東にのびる湿潤域およびその周辺の上昇流域の分布の特徴を25字程度で述べよ。


700hPa湿数図を見ると湿潤域が南東に帯状になって連なっています。湿潤域を、700hPaの鉛直流図に重ねてみました。すると、湿潤域付近とその南側に上昇流域、北側に下降流域がひろがっています。水蒸気を多く含んだ空気が上昇して、この湿潤域を作り出しているということですね。

私の解答は、
湿潤域が帯状に連なっており、南側で上昇流域、北側で下降流域となっている。](36字)

解答例は
上昇流域は主に湿潤域とその南西側に分布している。](24字)
でした。

うーん。“関東地方南部から南東にのびる湿潤域およびその周辺の上昇流域の分布の特徴”って、“湿潤域の特徴”と“上昇流域の特徴”っていう意味じゃないのか。それと、“鉛直流の特徴”ではなく、“上昇流域の特徴”だから、下降流域について書く必要はなかったですね。どおりで解答が長くなりすぎたわけだ。

問題文(2)
図7(上)の枠線で囲まれた領域X,Y,Z 内における相当温位の分布は、それぞれ上空に向かって「増加する」,「減少する」,「変化なし」のいずれであるかを答えよ。また、これらの領域内の空気塊がさらに上空に持ち上げられた際に、対流が最も発生しやすい領域を答えよ。

 
東経140°で輪切りにした、相当温位の鉛直断面図を見ながら、鉛直方向の相当温位の変化と、大気の安定度を答える問題です。

枠で囲まれた領域を、上空に向かってそれぞれ持ち上げるのですね。わかりました。

「X」は相当温位が上層に向かって大きくなっているから[増加する]。「Y」は上層に向かって小さくなっているから[減少する]。「Z」は上層に向かって大きくなっているから[増加する]。これで正解だと思ったのですが、、、

解答例は、
領域X:[変化なし]領域Y:[減少する]領域Z:[増加する
でした。

これはつまり、、、問題文の、“枠線で囲まれた領域X,Y,Z 内における相当温位の分布は、それぞれ上空に向かって”とは、枠の中の空気を持ち上げるのではなく、枠内で持ち上げた場合どうなるかという意味だったんですね!

それならば、確かに「X」は変化なしですわ。

文章の理解の能力が低いのか。。。

さて、領域内の空気を更に上空に持ち上げた場合、対流が最も発生しやすい領域と問われれば、最も上層に向かって相当温位が小さくなっている領域[Y]が当てはまります。相当温位が上層ほど低い状態を「対流不安定」と呼びます。

解答例
対流が最も発生しやすい領域:[X

問題文(3)[1]

図7および図8を用いて、仮温度に関する以下の問いに答えよ。

[1]図7(下)と図8を用いて、図7(下) に示した地点a と地点b の850hPa における気温および湿数を0.5℃刻みで、混合比を1g/kg 刻みで答えよ。混合比については図8の等飽和混合比線を利用せよ。

 
まずは簡単な気温と湿数の読み取りからやっています。

850hPaの線と交わる等温線を読めばいいので、地点aの気温は[16.0]℃、湿数は[0.5]℃です。
地点aの気温は[16.0]℃と、[16.5]℃で迷いますが、解答例では両方正解になっていました。指数は、6.0℃の太線から丁寧に等湿数線を読み取ると[9.0]℃となります。

さて、混合比を求めるには、図8のエマグラムを使用します。まず、850hPa面の露点温度を求めて、この温度と交わる、等飽和混合比線(g/kg)の値が、混合比です。先ほど読み取った湿数は、気温から露点温度を引いた値(指数=気温-露点温度)なので、(露点温度=気温-湿数)により、露点温度が求まります。

そうすると、
地点a:気温16.0℃-指数0.5℃=露点温度15.5℃
地点b:気温16.0℃-湿数9.0℃=露点温度7.0℃
と求まります。

地点aの、15.5℃で交わる等飽和混合比線は、[13]g/kg
地点bの、7℃で交わる等飽和混合比線は、8g/kgと7g/kg微妙ですが[]g/kg 地点aの気温を16.5℃と読んだ場合は、[]g/kg。どちらでも正解。
これが、混合比の答えになります。

問題文(3)[2]
仮温度は気温T に水蒸気量に関する項T w を加えるかまたは減じたものである。850hPa における混合比w (g/kg) からT w を求める概算式T w = 0.18w を用いて、地点a と地点b の850hPa の仮温度を求め、二捨三入により0.5℃刻みで答えよ。

 
“水蒸気量に関する項T w を加えるかまたは減じたものである”という、よくわからない言い回しをしていますが、仮温度は、湿潤空気の場合、気温より必ず高くなります。気温TにTwを加えないとおかしいことに気づきました。

問題文にある式より、Twは、
地点a:0.18×14=2.34
地点b:0.18×8=1.26
となります。

これを、気温Tに加えると、
地点a:2.34+16.0℃=18.34℃ 0.5℃刻みで、[18.5]℃[18.0]℃も正解
地点b:1.26+16.0℃=17.26℃ 0.5℃刻みで、[17.0]℃[17.5]℃も正解

私は、地点bの仮温度を計算ミスで間違えてしまいした。こういうしょーもないミスを何とかしたい。計算自体は複雑ではないので、丁寧にすれば得点できる問題。時間に追われながら、どれだけ落ち着いて解けるか というのが最大の課題かもしれません。

問題文(3)[3]

仮温度に関する次の文章の空欄(ア)〜(オ)に入る適切な語句を答えよ。

 水蒸気を含む空気塊の鉛直方向の移動を正確に見積もるため、数値予報等では、温度のかわりに水蒸気の重さを考慮した仮温度を用いている。
 具体的に地点aと地点bで850hPaの空気塊の重さを比較すると、(ア)はほぼ同じであるが、水蒸気の比重が乾燥空気より(イ) ため、(ウ)の大きい地点a のほうが、仮温度は( エ)、空気塊は( オ) ことが分かる。

 
穴埋め問題ですが、仮温度についての知識を問う問題で、学科試験の復習のような内容です。

水蒸気は乾燥空気より軽いため、湿潤空気と、乾燥空気を比べると、同じ気圧、同じ体積、同じ気圧であれば、水蒸気を含んでいる湿潤空気のほうが軽いというお話です。文章を読みながら理解すると良いと思います。

ア:[気温]イ:[小さい]ウ:[混合比]エ:[高く]オ:[軽い

問題文(4)
図8を用いて、八丈島における850hPa と500hPa 間のショワルターの安定指数(SSI) を求め1℃刻みで答えよ。


実技試験ではよく出題される、ショワルターの安定指数(SSI)を求める問題です。今回は850hPaで既に飽和しているので、そのまま、湿潤断熱線にそって、500hPaまで持ち上げるだけです。290kと295kの湿潤断熱線を比例配分しすると良いのですが、湿潤断熱線が曲がっているので、私はよく1℃~2℃ズレてしまうんですよね。綺麗に作図すると解答例通り[+2]℃になります。私は、[+1]℃と解答しましたが、今回は、[+1]と[+2]両方とも正解になっていました。ショワルターの安定指数は、プラス・マイナスの符号が必須なので、忘れないように。

第47回 気象予報士試験 実技 実技1問3

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