ウユニ塩湖でドローンを飛ばすときに注意すべきこと
「ウユニ塩湖 ドローン」のキーワードで検索してみると、次から次へと出てくるドローン空撮映像の数々。周囲に何もなく、ひたすら鏡張りの絶景が広がるウユニ塩湖は、ドローン空撮にぴったりの場所と言っていいでしょう。
多くの観光地では、ドローンを飛ばそうとしても禁止されていて飛ばせなかったり、禁止されていなくても人が多すぎて危険であることがほとんどです。でも、ウユニ塩湖ならドライバーさんに人が少ない場所に連れて行ってもらえば、360°絶景を独り占めして飛ばし放題なわけです。
しかし、いざドローンを日本から持って行って飛ばすとなると、いろいろな疑問や不安の壁が立ちはだかります。
例えば、「飛行機に持ち込めるの? イミグレで没収されない?」とか、「アメリカ経由でボリビア入国予定だけど、アメリカはドローンに申請が必要らしい。大丈夫?」とか、「そもそも、ドローンを海外に持っていくこと自体大変そう」などのように、持っていくまでのことや、「ウユニ塩湖でドローンの墜落が多発してるって聞いたけど大丈夫?」といった、現地に着いて飛ばす上での不安などです。
Googleで検索してみても、「ウユニ塩湖でドローン飛ばしたら絶景だった!うぇい!!」みたいな記事はたくさん出てきても、実際に飛ばす上での注意点などをまとめた記事は出てきません。
そこで、2018年の2月に卒業旅行でウユニ塩湖にDJI phantom 3を持っていって飛ばしてきた私が、ウユニ塩湖にドローンを持って行って飛ばすまでの注意点を綴っておこうと思います。誰も10万円以上する機体を地球の裏側まで持っていって壊したくはないと思いますからね。
出国前に確認すべきドローンにまつわる法律
まずは、最重要項目。ドローンにまつわる法律についてです。
結論から言うと、ボリビアでは日本を含む外国からのドローンの持ち込み、ドローンの飛行について特にルールは定められていません。入国の際にドローンを没収されることはありませんし、ウユニ塩湖を含む観光地でも、自由にドローンを飛ばすことができます。
ただし、2018年8月12日に、隣国ベネズエラの首都カラカスで発生した、ドローンを使った大統領暗殺未遂事件を受けて、ボリビアでも「市民イベントでのドローンの飛行を禁止する」というニュース記事を見つけました。当然ですが、ルールに定められていなくても、町中で危険な飛行をしたり軍事施設や空港周辺で飛ばした場合は当局に拘束される可能性がありますので注意しましょう。
< 追加情報>
念の為、在ボリビア日本大使館に最新のドローン飛行ルールについて問い合わせてみたところ、回答をいただきました。
これによると、現時点でドローンを規制する法律はないが、ドローン規制法案が審議中であり、2018年内にも採択される可能性があるとのことでした。
審議中のドローン規制法案の内容をざっくり箇条書きで記載しておきます。
● 対象は重量250g以上のドローン
● 寸法、容量、用途によってカテゴリー分類される。
● ドローン申請の際、識別プレートが供与される。同プレートには、登録番号、モデル、所有者名、操縦者名が記載される。
● ドローンの飛行高度は120mまで、夜間飛行、90分以上の飛行、飛行場、家屋上空、軍事施設、多くの人が集まる場所での飛行は禁止
これを見ると、概ね各国のドローン規制内容に合わせた内容になっていますね。
なお、審議中の内容であるため、今後内容が変更されることは十分に考えられます。
最新の情報を収集するように努めてください。
アメリカ経由でボリビアに入国する場合
日本からボリビアへの直行便はなく、少なくとも2回乗り継がなくてはなりません。乗り継ぎ経路は複数ありますが、代表的なのが、アメリカン航空でマイアミを経由してボリビアの首都ラパスに向かう方法です。しかし、日本からマイアミへの直行便も存在しないため、成田からシカゴ・オヘアやダラスなどを経由してマイアミに向かうことになります。2回乗り継ぎが必要な理由です。
したがって、一旦アメリカに入国して、アメリカ国内線でマイアミに向かうことになります。
ここで気になるのが、アメリカのドローンに関する法律です。アメリカでドローンを飛ばす場合にはFAA(アメリカ連邦航空局)に機体を申請しなければなりません。でも、これは飛ばす場合の話で、持ち込むだけであれば特に申請などは必要ないようです。
私は、シカゴ・オヘア経由でマイアミに向かい、ボリビアからの帰りは、ドローンを担いだ状態で、マイアミ→ニューヨーク→シカゴと移動しましたが、没収されたり尋問されることはありませんでした。ただし、空港ではしっかりドローンのカバンを確認されて質問されたりしました。
なお、アメリカのFAA申請については、わかりやすく説明してある記事をリンクします。海外旅行で個人が趣味で飛ばす場合も申請できるみたいです。
アメリカにドローンを持ち込んで飛ばすために必要なFAA登録の手順とドローン飛行規制エリアの確認方法
ウユニ塩湖と一緒にマチュピチュを観光する人も多いと思いますが、マチュピチュでのドローン飛行は禁止されています。持ち込みにも許可がいるという記事をみつけました。注意してください。
【ペルーのドローン事情】〜持ち込むだけでお金取られてたまるか〜
ドローンを飛行機に持ち込むときの注意点
ドローンを飛行機に持ち込むときに注意しなければならいのは、バッテリーの扱いです。ドローンに使われている「リチウムイオンバッテリー」は危険物にあたり、基本的にどの航空会社でも機内持ち込みにしなければいけません。また、バッテリーの容量によって以下のような制限があります。
● ワット時定格量が100Whを超え160Wh以下のものは2個まで
DJIのPhantom4シリーズや、Mavicシリーズであれば100Wh以下なので、何個でも持ち込みできます。
危険物に当たるのはバッテリーだけなので、ドローン本体は預け荷物にすることも一応できます。でも、絶対に精密機器であるドローンを預け荷物にしたくはないですよね。特に海外の空港での荷物の扱いは恐ろしいです。私は、イタリアで買ったお土産のワインが、日本に着いたら割れていたことがありました。
ということで機体も機内持ち込みにしなければいけませんが、私が持っていったのは中型機のphantom3だったので結構大変でした。
イミグレでの対応 持っていくまでの苦労話
これが私の旅行スタイルです。Samsoniteの94Lタイプの大きなスーツケースが小さく見えるくらい、ドローンのリュックがドカンと乗っかっています。DJI Mavicシリーズだとコンパクトで旅行でもラクラク持ち運べますが、phantomシリーズだとこうなります。ちなみにphantom4の場合、購入したときに入っているケースが頑丈でそのまま持ち運び用のバックとして使用できるようになっていますが、phantom3はダンボールなので、Amazonで安いバックを購入しました。
スーツケースは預け荷物にして、ドローンバックとカメラバックを持ってイミグレーションを通過しましたが、日本からアメリカへの入国、アメリカからボリビアへの入国の際は以外とスムーズでした。ドローンバックも、しれっと普通のバックと同じようにX線検査を受けて難なくクリア。厳しかったのは、ボリビアから出国する際の、アメリカン航空独自の手荷物検査とアメリカから日本に帰国する際とアメリカ出国検査のときです。
特にボリビアからの出国はテロを警戒しているのか、バックの中身を開けてバッテリーを入念にチェックしていました。また、アメリカからの出国のときは審査官が厳しかったのか、高圧的なでかい声で何か言われたのですが、早口過ぎて聞き取れずポカーンをしていたら、そのまま通してもらえました。まあ、ルールに違反していなければ大丈夫です。
アマゾナス航空への機内持ち込み
アメリカン航空でボリビアの首都ラパスに到着したら、そこからはアマゾナス航空を乗り継いてウユニ村に向かうことになります。心配なのがアマゾナス航空の機材です。
ボンバルディアCRJー200という機体ですが、小さいです。ドローンバックはサイズ的にギリギリアウトかセーフか怪しいサイズだったのですが、カウンターのお姉さんが結構適当な感じで、余裕で機内持ち込みすることができました。ただし、頭上の荷物棚には入らないので足元に置くことになります。かなり窮屈ですがフライト時間が1時間弱なのでなんとか我慢できます。
坂道だらけの街ラパス
ラパスは、標高4000mの高山にあります。空気は薄く坂道だらけで道は石畳です。普通の荷物でも疲れる環境なにも、ドローンとスーツケースを抱えて歩いてると一瞬にしてヘトヘトになりました。迷わずタクシーの利用をおすすめします。これから海外旅行用にドローンを買うならMavicシリーズがいいと思います。ただしのちほど話しますが風に強くないというデメリットもあります。
ウユニ塩湖でドローンの墜落が多発しているという噂
日本から飛行機を乗り継ぎ48時間以上かけてウユニ村に到着、そこからジープをチャーターしてようやくたどり着いたウユニ塩湖。
いざ絶景を捉えようとドローンを飛ばすと墜落してしまった。塩水に浸かって再起不能。。。ということが実際に起きているみたいです。
ウユニ塩湖の磁場の影響とか、高度の影響とかいろいろな憶測が飛び交っていますが、原因は不明です。
ただ、ドローンが墜落する原因の多くは「操縦ミス」「強風」「キャリブレーションエラー」「整備不良」「電池切れ」のいづれかです。まず基本的なことを確認しておきましょう。
標高が影響?強風&操縦ミス
ウユニ塩湖はご存知の通り周囲に何もないので、結構強い風が吹いていることが多かったです。風が強いときは無理して飛ばさない。これは大原則です。ウユニ塩湖に降り立つとその絶景でテンションが上がって気が大きくなるとともに、明日は雨が降って絶景が見られないかもしれない。今しかない。という気持ちも相まって、無理してでも飛ばしたくなります。でも我慢してください。
特に、Mavicシリーズやそれより小型のドローンは持ち運びは楽ですが、風にあまり強くありません。phantomシリーズと比べると明らかに安定感が違います。やはり安定した映像を狙うとなるとphantomシリーズに軍配があがります。
操縦ミスについては、標高4000mという環境も影響しているかもしれません。標高が高くなると気圧が低くなるので、地上に比べてプロペラの生み出す揚力が小さくなります。Mavic proやphantomシリーズは約5000mまで飛行可能ですが、地上よりもより慎重な操縦が求められます。私も実際にphantom3をウユニ塩湖で飛ばしていて、明らかに日本で飛ばすときに比べて反応が鈍いなと感じました。
ウユニは南半球 キャリブレーションエラーについて
コンパスキャリブレーションを怠ったために発生した墜落もあるのではないかと思います。コンパスキャリブレーションとは機体のコンパスを正常な状態に合わせる作業です。日本国内で飛ばす場合は毎回行う必要はありませんが、地球の裏側であるボリビアで飛ばす場合は絶対に必要となります。これが不十分な場合キャリブレーションエラーを起こして、突然明後日の方向にドローンが飛んでいくことになります。
整備不良・電池切れなど
ウユニ塩湖で撮影していると、気がついたら塩まみれになってしまいます。その手でドローンを触ったりしていないでしょうか。直接塩水をかけなくても、ウユニ塩湖上の空気中には塩水の飛沫が飛んでいます。飛行を終えてホテルに帰ったら入念に機体を清掃してあげた方がいいと思います。また基本的なことですが、電池残量にも気をつけなければいけません。とくに気温の低い明け方は電池の減りが大きくなることがあるので注意です。
みんなでジープの屋根に乗ってドローンで空撮!
実際にドローンで撮影してきた映像がこちら。ウユニ塩湖を普通に空撮した映像は既に数多くあるので、ツアーのみんなでジープの屋根に乗って走りながらドローンで空撮してみました。私もジープの屋根からドローンを操縦しています。
ドライバーさんもノリノリで身を乗り出して手を降っています。映像からも伝わると思いますが、近くにに他のツアーの人がいないところまで連れて行ってもらい、文字通り360°の絶景をツアーのみんなで独占できました。
走るジープの上からドローンを的確に操縦してカメラアングルまで合わせるのは少し難易度が上がりますが、コツさせ掴めば誰でも映画かCMのような映像が撮れてしまいます。普通の大学生が地球の裏側まで行って空撮映像を撮ってくるなんて、数年前だと夢にも思いませんでしたが、今現実となっています。「この時代に生まれてきて良かった」なんて言葉を真面目な顔して言ってしまいそうなくらい素晴らしい時間でした。
まとめ
いろいろ書いていると、結構長い記事になっていしまいました。最後にまとめて終わりにします。
- ボリビアには現在ドローンに関する法律はない。ただし、ドローン規制法案が審議中である、2018年内にも採択される可能性がある。
- 飛行機にドローンを持ち込むときは、バッテリーは必ず機内持ち込みにする。
- アメリカでドローンを飛ばす場合はFAA登録が必要であるが、持ち込みだけなら今のところ必要ない。
- アマゾナス航空にPhantomサイズのドローンはギリギリ機内持ち込み可能
- ウユニ塩湖でのドローン墜落は、キャリブレーションエラーや、日本と操縦感覚が異なること、ウユニに着いて気が大きくなっていることが原因かも
それでは楽しいウユニ旅行を。
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