空撮用ドローンについて考える 後編

空撮用ドローンについて考える 後編

この記事は『空撮用ドローンについて考える 前編』の続きです。

フライトと空撮

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荒川の河川敷に移動して、コンパスキャリブレーション作業を行います。

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スロットルスティックを傾けると力強く上昇。手を離すとその場でピタリとホバリング。風が吹いても加速度センサーとGPSで位置を認識してその場に留まります。安全に飛行できるのは風速6m/sまで。風の強い日の飛行は厳禁です。

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衛星を6個以上キャッチするとGPS飛行モードが有効になり、機尾LEDが緑色に点滅します。


〈Flickrで見る〉

高度約200mまで上昇して熊谷市街方面を撮影してみました。個人でこんな空撮写真を撮れるとは本当にすごい時代になりましたね。5年前ならドラえもんの道具の世界です。

go-home機能搭載

遠くに行き過ぎて通信が途絶えたときでもGPSを利用して自動で離陸地点に戻って着陸します。フライト中にコントローラを投げてぶっ壊しても墜落しません。

試したことは無いですが、アプリで事前に飛行ルートを入力すれば自動飛行できる「グランドステーション機能」も搭載しています。

実用電波到達距離は約300m 空撮時間は15分くらい

メーカーのカタログ値は約700mと記載されていますが、実際には300mを超えたあたりからスマートフォンに送られてくる映像が途切れたり、go-homeに切り替わったりしました。フライト時間はバッテリーの限界ギリギリまで飛ばせば20分くらい飛べますがそれは危険なので、余裕を持って空撮できるのは15分くらいになります。

従来型ラジコンヘリとドローンの注目すべき違い

従来型のラジコンヘリとドローンって何が違うの?という問に多くの場合、ドローンはコンピュータ制御により自立飛行が可能で、誰でも簡単に飛ばせるようになった とういう部分だけが注目されます。

でも、本来注目すべきは飛ばす目的です。従来型のラジコンヘリは飛ばすことが目的ですが、ドローンは空撮を目的としています。(業務ではなく一般の人が使う場合。)ラジコンヘリなら飛ばすことが目的なのだから、それこそ何もない広い敷地を確保して飛ばしていれば満足ですがドローンはそうじゃない。空撮するということは必ずその対象が必要です。それは例えば、桜並木や花畑・紅葉などの美しい自然や、歴史的な建造物やその町並みだったりします。空撮用のドローンとは本来そういった使い方をするものです。

しかし、市街地を飛行させたり許可を得ず勝手に寺社仏閣の境内で飛行させたりするから問題になるのです。空を飛ぶ以上墜落する可能性もあり、下にいる人に怪我をさせたり家屋や文化財を破壊したりするリスクがあります。

空撮目的でないラジコンヘリを墜落したらリスクがあるような場所で飛ばす人は普通いませんから、いままで問題にならなかったのです。

ドローン飛行に関わる法律&安全に飛行するには

美しい映像を撮るという目的と墜落した際のリスク このバランスをどう考えるかです。リスクをできるだけ減らして空撮を楽しむにはどうすればいいでしょうか。

まず、法律に関する制約ですが、ニュースでも取り上げられているようにドローン利用に関する法整備をやっと国会で始めたところで、現状、ドローンに関する細かい規制がありません。

現時点で抵触する可能性がある法律は以下の3つです。

航空法

航空法では、空港やその周辺(概ね半径9km以内)は飛行禁止、航空路内では地上150m以上、航空路外では地上250m以上の空域での飛行は禁止となっています。つまり、空港から離れていて航空路外の場合は、地上250mまでの空域なら許可や届け出がなくても自由に飛行可能となります。

道路交通法『道路使用許可』

道交法の条文;許可が必要な行為
『道路において祭礼行事をし,又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為(略)で,公安委員会が(略)必要と認めて定めたもの』
ただし、ここにおける道路の定義が上空を含むのか書かれていませんし、ドローンの飛行が一般交通に著しい影響を及ぼすかどうかも微妙なところです。

民法207条

他人の土地の上空を許可無く飛行させると所有権侵害のおそれがあります。

これらの法律以外に条例で公園での飛行させることを禁止する動きが広がっています。

4月28日、大阪市が管理する市立公園と、東京都が管理する都立公園と都立庭園でドローンの持ち込や操縦を禁止しました。これ以外の地域の公園でも今後禁止の方向で進みそうです。

詳しくはこちらのページに書いてありました。
【無人ドローン運用に必要な許認可とケアすべき法律問題|現行法・解釈】
http://www.mc-law.jp/kigyohomu/15660/

モラルのある飛行

現行法でのドローンに関わる法律をまとめて書きましたが、この法律に触れなければどんな飛ばし方をしてもいいというわけでは勿論ありません。他の人に危険・迷惑だと思われる飛行はしないことです。

自主的にルールを定めるとしたら以下のようなかんじでしょうか。

・市街地、住宅密集地での飛行禁止
・群衆、人混み上空の飛行禁止
・鉄塔、電線、電波塔付近の飛行禁止
・鉄道、幹線道路の上空とその付近の飛行禁止
・強風悪天候時の飛行禁止(上限風速は機種による)
・撮影する映像はプライバシーに配慮(個人やその生活が特定できる映像は公開しない)

5月12日のニュースで、ドローンを安全に運航するための新しいルール骨子を5月中にもまとめるということです。ただ規制するのではなく、うまく活用するためのルールに期待しています。