液晶モニター選び 写真編集と予算の葛藤記

液晶モニター選び 写真編集と予算の葛藤記

2年前にパソコン購入と同時に購入して使っていたメインで使っていた「HP 22fi 21.5インチIPS光沢モニター」が壊れました。壊れたといっても、突然つかなくなったのではなく、画面の右側が赤っぽくなり、モアレたような線が入るようになったんですね。写真を編集したりするときには致命的ですし、普通にWordとかで文章を書いていても目が痛くなるので、モニターを買い替えることにしました。

せっかく買い替えるのなら少し良いモニターが欲しいという気持ちが高ぶります。特に写真を編集したりしているとEIZOのモニターとか欲しくなってくるんですよ。そこで、今回は数あるモニターの中から選んで購入するまでを記事にしました。これからモニターを買おうとしていて悩んでいる人は是非参考にしてみてください。

買い替え候補のモニター

買い替えるにあたって、いろいろ調べた結果候補に上がったのは以下の5つのモニターです。

● DELL U2417H 参考価格;¥29,976
解像度;1920×1080 表示色:1,677万色
● EIZO FlexScan EV2450 参考価格;¥37,742
解像度;1920×1080 表示色:1,677万色

カラーマネージメント対応モニター
● DELL UP2516D 参考価格;¥50,058
解像度;2550×1440 AdobeRGBカバー率99% 表示色;約10億7374万色
● EIZO ColorEdge CS230 参考価格;¥63,880
解像度;1920×1080 表示色;約10億7374万色
● EIZO ColorEdge CS2420 参考価格;¥97,914
解像度;1920×1200 AdobeRGBカバー率99% 表示色;約10億7374万色

※価格は全てAmazon 5月23日時点

サイズは24~25インチですが、かなり仕様が違います。上の2つがいわゆる一般的なモニター、下の3つがカラーマネージメントに対応した、写真やイラストをする人向けのモニターとなります。それぞれに機種について簡単に説明します。

EIZOに対する憧れ

写真や映像を扱う業界ではEIZOのモニターが圧倒的に支持され、ほぼEIZOの独擅場となっています。写真を撮って編集している人なら誰もが憧れるEIZOのモニター。石川県に本社を置く日本のメーカーで、品質が非常に高く、保証も手厚く全ての商品に5年間の保証期間が与えられています。DELLのモニターは3年間となります。

「CS2420」は、今年の2月25日に発売されたモデルで、写真愛好家やイラストを楽しむユーザーを対象とした製品です。写真愛好家向けソフト「Quick Color Match」が付属しています。このソフトウエアによりモニターの画面と写真プリントとの色合わせが簡単に行えるそうです。私自身、写真を印刷しているとモニターに表示されている色と微妙に色が違うということがよくあるのでこれは非常に魅力的です。

写真愛好家向けという位置づけですが、基本性能が非常に高いのが特徴です。AdobeRGBカバー率は99%、表示色;約10億7374万色、独自の「デジタルユニフォミティ補正回路」を搭載し、画面全体の輝度と色度が均一になるように補正し、ムラのない表示を保ちます。また24.1型サイズで、ツールパレットを置いてもA4見開きを実寸で表示ことも特徴です。なお、AdobeRGBカバー率とは、モニターに表示できる色域のことをいいます。詳しく書くと長くなるので割愛しますが、一般的なモニターはsRGBという色域を基準にしているのに対して、写真やイラスト向けのカラーマネージメントモニターはAdobeRGBという色域を基準としています、AdobeRGB対応であれば、sRGBより広い色の領域を持っていて、sRGB相当の一般的なモニターでは再現しきれない色まで忠実に再現できます。

しかし、、、値段が高過ぎる。Amazonでも、10万円近くします。

「CS230」は、EIZOのカラーマネージメントに対応したColorEdgeシリーズに最もリーズナブルなモデルで、2012年に発売されたロングセラーモデルです。こちらも、「デジタルユニフォミティ補正回路」を搭載。「Quick Color Match」も使用可能でプリントとの色合わせも「CS2420」同様、簡単に行えます。「CS2420」との大きな違いは、解像度と、sRGB対応となっていて、AdobeRGB色域には対応していない点です。ただし、表示色は約10億7374万色対応となっています。一方、「CS2420」に無い機能として、自動で表示補正を行うコレクションセンサーを内蔵しています。

価格は6万円超。まだ高い。

DELLのカラーマネージメント対応モニター

カラーマネージメント対応モニターを調べていると、DELLからも一応発売されていることを知りました。「UP2516D」というモデル。発売は、2015年10月2日。割と最近。スペックは、AdobeRGBカバー率99%、表示色;約10億7374万色、EIZOの「デジタルユニフォミティ補正回路」に似た、「PremierColorテクノロジー」を搭載して画面の色を均一に補正します。カタログスペックではEIZOのモニターと差はありません。解像度に至っては、2560×1440 WQHD対応で大幅に上回っています。価格は5万円。でも、、、EIZOのカラーマネージメントモニターは信頼できるけど、DELLのモニターってどうなの?というのが正直な感想。

そこで、この機種を調べてみたのですが、どうやらこの機種の「PremierColorテクノロジー」目玉であるに問題があるようです。詳しくはこちらのブログをご覧ください→『DELL UP2716Dを購入 色ムラ補正は3モード固定、実質6500K専用機』

要するに、写真の編集で使うであろうsRGBやAdobeRGBなどにの色空間モード、キャリブレーション後は、「PremierColorテクノロジー」の統一性補正が仕様できないとのこと。だから記事のタイトルが、「実質6500K専用機」。それじゃ意味ねぇ。なんとも中途半端な仕様です。

一般ユーザーにおけるカラーマネージメント対応モニターのメリット

カラーマネージメント対応モニターについていろいろと書きましたが、これらの高性能なモニターが、そもそも私の今の作業環境、写真の使用用途でどの程度メリットがあるのかという話をこれからします。たぶん趣味で写真を撮っていてカラーマネージメント対応モニターを検討している人は同じようにぶつかる問題だと思います。結論からいうと、私の場合、カラーマネージメント対応モニターを購入しても、その性能を100%活かしきれませんし、そこまで必要ないのかもしれません。

理由その一 私のパソコンのグラフィックボードGeForce GTX 760 では、約10億7374万色の色を出力できない。対応するには、Quadroなど写真や動画編集に特化したグラフィックボードが必要です。パソコンごとやり替えなくてななりません。無理です。

理由その二 EIZOの画期的なプリントマッチングソフト「Quick Color Match」は、私の持っているプリンターには対応していない。モニターと同時にプリンターも買い替えないとこのソフトは意味が無い。

理由その三 写真を撮っても印刷するのは僅か。写真展では、サークルの経費の関係もあり、印刷屋で印刷するので家では最も品質が重視される写真展向けの印刷はしていない。その写真展も年数回。

理由その四 写真の多くは、ブログやTwitterなどweb上での公開にとどまる。つまり、いくらAdobeRGBの色域で編集しても、これを見る人のスマホやパソコンは対応していないのでsRGB色域でしか見れない。

理由その五 お金がない。←結局これ。モニターを買うお金と、お金を貯める時間を考えれば、より多くの場所に出掛けて写真を撮ったほうがいいだろうという結論です。写真を編集するために良いモニターかったら、写真撮りに行くお金がなくなったのでは本末転倒です。

ということで、カラーマネージメント対応モニターは諦めました。

DELL U2417H と EIZO EV2450

さて、残る候補は二機種。DELL U2417H と EIZO FlexScan EV2450 です。EIZOのFlexScanシリーズは一般用途のモニターです。

まず、EIZOの「EV2450」ですが、このモニターはネット上でもものすごく評価の高いモニターです。いろいろな人のレビューをYouTubeやブログで見ることができます。一方、DELLの「U2417H」は2016年1月20日に発売された最新モデル。「EV2450」も極薄ベゼルですが、「U2417H」はそれよりも薄い、世界最薄ベゼルを謳っています。一般用途のモニターとしては、色表現にもこだわっていて、どのモニターも、出荷時色補正完了報告書によって、sRGBカバー率が99 %であることとDeltaEが2未満であることが保証されています。ただ、「EV2450」を含め一般用途のモニターは、sRGBカバー率やDeltaEを公表していないので、これがどの程度の数値なのか比較することができません。「U2417H」は新しいモデルなので、レビューが出揃ってませんが、ひとつ前のモデル「U2414H」は評価の高いモデルです。

結局デザイン重視

「EV2450」の価格は¥37,742 「U2417H」の価格は¥29,976。デザインは「U2417H」の方が好みです。結局、この価格帯の液晶であればそれほど違いはないであろうと思って、安い「U2417H」を購入しました。DELLブランドは、自己都合であっても10日間以内なら交換・返品が可能です。実は大学のオープン端末室に「EV2450」が置いてあるので見比べて、納得がいかななければ返品しようと決めました。

「U2417H」レビュー に続く