第48回 気象予報士試験 実技 <解答&反省会> 実技2問3

第48回 気象予報士試験 実技 <解答&反省会> 実技2問3

実技2問3

問題文(1)[1]

10⽇18時の関東地⽅の⾵と気温について述べた次の⽂章の空欄([1])〜([7])に⼊る適切な語句または整数値を答えよ。ただし、[1][4]は「⾼」または「低」のいずれか、[6][7]は「南」または「北」のいずれかを答え、[5]は8 ⽅位で答えよ。

関東地⽅には南と東の海上から⾵が吹き込んでおり、気温は海岸より内陸のほうが([1])くなっている。海岸と内陸の気温差をみると、神奈川県から千葉県にかけての海岸と内陸の気温差は約([2])℃であるのに対し、茨城県の海岸と内陸の気温差は最⼤で約([3])℃に達しており、東の海上から吹き込む⾵がより([4])温である。
南と東の海上から吹き込む⾵は千葉県北部でシアーラインを形成している。このシアーラインの南側では南よりの⾵、北側では([5])の⾵が卓越し、⾵速は([6])側の⽅が⼤きい。また、シアーラインの([7])側で気温の勾配が⼤きくなっている。

 
ここで穴埋め問題が現れました。関東地方に北東風が流入しており、これに伴うシアーラインに関する問題です。過去にも似たようなシアーラインに関する問題が、何度も出題されています。早速、問いていきましょう。

[1]沿岸と内陸の温度を比較すると、明らかに内陸の温度のほうが[高く]なっています。
[2]神奈川県から千葉にかけての沿岸と内陸の気温差。内陸とは関東地方の内陸、つまり埼玉県から群馬県付近を指します。神奈川県から千葉にかけての沿岸の温度が16.7℃~18.6℃に対して、埼玉県から群馬県付近は、20℃~20.5℃なので、気温差は約[]℃、ないしは[]℃です。3℃でも4℃でも正解となっています。
[3]それに対して、茨城県沿岸の最も低い気温は、9.6℃なので、気温差は最大で[11]℃に達しています。
[4]東の海上から風が吹き込んで気温が低なっているので、当然吹き込む風が[]温である。となります。
[5]千葉県北部のシアーラインの北側で卓越している風は8方位で、[北東]です。
[6]風速が強いのはシアーラインの[]側ですね。
[7]シアーラインの北側と南側、どちらで気温の勾配が大きくなっているか。明らかに[北側]です。

私は、問題文の、“神奈川県から千葉県にかけての海岸と内陸の気温差は”を、「神奈川県から千葉県の沿岸」と、「神奈川県から千葉県の内陸」の気温差だと思って解答してしまい間違えてしまいました。確かに問題の流れからいえば、内陸は“関東地方の内陸”を示しているのですが、慌てて問いていて、そこまで機転を利かせる余裕がありませんでした。

問題文(2)[1]

図11のシアーラインは時間とともに南⻄進し、シアーラインが通過した地点では⾵と気温の急変が観測された。シアーラインの通過に伴い⾵速が極⼩となった時刻をシアーラインの通過時刻とするとき、図12に基づいて以下の問いに答えよ。

[1]⿅嶋と成⽥におけるシアーラインの通過時刻をいずれも10分刻みで答えよ。

 
成田と鹿嶋の地上風・気温の時系列図をみてみましょう。

“風速が極小となった時間をシアーラインの通過時刻とする”とあるので簡単です。鹿嶋は[16時50分]成田は[18時00分]です。

あえて、“風速が極小となった時間をシアーラインの通過時刻とする”に下線を引きましたが、私はこの文言を読み落とし、シアーラインなので、風向の変化が一番大きい時間で答えてしまい、ズレてしまいました。この問題を間違えると、次に続く問題も芋づる式に不正解になります。泣きたい。。。

問題文(2)[2]
[1]に基づき、このシアーラインの⿅嶋〜成⽥間の移動速度(km/h)を四捨五⼊により整数で答えよ。ただし、⿅嶋〜成⽥間の距離は30.8km である。

 
シアーラインの移動速度を求める問題です。シアーラインは鹿嶋を通過してから50分後に成田を通過しました。鹿嶋~成田間の距離は問題文より、30.8kmなので、70分でこの距離を走破したことになります。

したがって、
30.8km×(6/7)=26.4km
四捨五入して整数で答えると[26]km/h になります。

問題文(2)[3]
シアーラインの通過に伴う気温の急下降について、⿅嶋における気温の10分間変化量の最⼤値を1℃刻みで答えよ。

 
地上風・気温時系列図によると、鹿嶋で10分間に最も気温が大きく変化しているのは、17時00分から17時10分までの10分間で、18℃から13℃まで気温が低下しているので、変化量は[]℃です。

問題文(2)[4]
[1]と[3]に基づき、このシアーラインが⿅嶋付近にあった時の気温の⽔平傾度の最⼤値(℃/km)を四捨五⼊により⼩数第1 位までの数値で答えよ。

 
移動速度は、[2]より26km/h。[3]より、10分間で気温が最大5℃低下したので、
5×6/26km=1.15℃
したがって、最大水平気温傾度は、少数第1位で[1.2]℃となります。

問題文(2)[5]
⿅嶋と成⽥における、シアーラインの通過前と通過後の卓越⾵向をいずれも16⽅位で答えよ。また、シアーラインの通過前と通過後の⾵の強さを⽐較し、両地点に共通する特徴を20 字程度で述べよ。

 
地上風・気温時系列図によると、鹿嶋も成田も、シアーライン通過前は、南南東の風、通過後は北東の風になっています。
鹿嶋 通過前:[南南東] 通過後:[北東
成田 通過前:[南南東] 通過後:[北東

両地点の通過前と通過後の風の強さを比較して共通している特徴は、両地点とも「風速が強くなった」ということです。

私の解答
両地点とも通過後に平均風速が強くなっている。(22字)

解答例
通過後の風が通過前より強くなった。(17字)

問題文(2)[6]

このシアーラインの通過に伴って成⽥で観測された次のア〜ウの三つの事象を、発現した時刻の順に並べ、記号で答えよ。

ア:⾵向の急変 イ:⾵速の極⼩ ウ:気温の急下降


成田の地上風・気温時系列図をみると簡単です。
まず、風速が極小になって、風向が急変し、気温が急降下しています。

イ→ア→ウ

感想

学科試験をパスして、満を持して望んた今回の試験ですが、自己採点をしたところ合格は厳しいかなぁ という印象です。実技2の前線解析の間違いによる失点が大きいです。模範解答から大きく外してしまっているので、部分点もあまり期待できません。また、それ以上に悔しいのが、落ち着いて問題文を読んで答えれば、正解できていた問題がいくつもあることです。

しかし、気象予報士試験は時間との勝負ともいわれます。実際の予報現場でも時間との戦いなので、時間内で正確に問題の意図を読み取り、答えられる能力が問われているのでしょう。今回は私は、全速力で解いて、やっと最後の5分くらい見直しができるくらい、ギリギリでした。あとは、論述問題。部分点の付け方など、詳細な採点基準が公開されていないので、自己採点も難しいですが、何度も、過去問の解答例と自分の解答を照らし合わせて、解答例に近い解答を書けるように努力するしかないですね。

もっと修行を積んでいきたいと思います。

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