第47回 気象予報士試験 実技 <解いてみよう> 実技1問1
- 2017.10.05
- 天気 気象予報士
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ゆるく楽しく、実技試験
この記事では、2017年1月に行われた第47回気象予報士の実技試験を、解きながら復習していきます。私自身、気象予報士合格を目指して勉強中の大学生です。したがって、解説というよりも、「リアルな受験生目線で、実技試験を楽しく解きながら復習していく」そんなスタンスでやっていきたいと思っています。第47回気象予報士試験を受けた人は、復習しつつ記事を読んでいただき、これから受けるという人は、この記事で実技試験の雰囲気を掴んでいただければ幸いです。また、間違っている箇所があった場合、バシバシと指摘してもらえると嬉しいです。
気象予報士試験の問題は、気象業務支援センターのホームページからダウンロードできるので、手元に用意して、記事を読むことをお勧めします。
こちらです→http://www.jmbsc.or.jp/jp/examination/examination-7.html
なお、記事に度々出てくる茶色の文字で書かれた「私の解答」とは、特に断りがない限り、試験本番後、しばらく経って、私が解き直したときの解答になります。
それでは始めましょう。
実技 問1
いつも通りの、天気図読み取り問題です。ここで間違えると勿体無いので、迅速かつ丁寧に問いていましょう。
日本付近の気象概況について述べた次の文章の空欄([1])〜([13]) に入る適切な語句または数値を答えよ。なお[5]および[6]はそれぞれ下の枠内から適切なものを一つ選べ。
地上天気図によると、四国沖には低気圧があって東北東に([1]) 進んでおり、中心から([2]) 前線がのびている。300hPa天気図によると、低気圧の中心付近の気温は周囲より([3])く、低気圧の南西側では最大([4]) ノットの風が観測されている。赤外画像によると、破線で囲んだ領域に、前述の風の流れにほぼ([5])走向を持つ帯状の雲が多数並んでいる。また、水蒸気画像によると、低気圧の中心の南から東側にかけて([6]) が広がっており、対流圏上・中層の([7]) た空気の流入が示唆される。
850hPa 天気図によると、低気圧の東に位置する潮岬と南南西に位置する名瀬で、いずれも([8]) ノットの風が吹いており、両地点の気温差は([9])℃となっている。これらの地点の850hPa における温度移流はいずれも([10])。地上の低気圧の東に位置する八丈島では、3 時間前と比べ、気圧が([11])hPa([12]) している。また、現在天気は([13]) である。
[5]直行する 平行な [6]強い 弱い
[1]東北東に[ ]進んでいる。という文章が与えられれば、だいたい速度が入りますが、この文章に例えば、[10kt]などと入れてしまうと接続語がないので文章が不自然です。ん?と思って、ちゃんと天気図を見ると、低気圧のそばに[SLW]の記号がありました。これは、移動方向は定まっているが、5kt以下であること意味しています。したがって[ゆっくり]が入ります。
[2]低気圧の中心から伸びている前線は[閉塞前線]ですね。
[3]300hPa天気図を見ると、低気圧の中心付近に寒気を表す、「C」の記号があります。また、低気圧周辺の気温の値を見ても、-38.5℃や-35.5℃など、周辺より低くなっています。したがって、「低く」が入ります。
[4]低気圧の南西側では[70]ノットの風が観測されています。
[5]赤外画像で破線で囲まれた領域の雲は、強風軸に対して[直行する]走行を持っています。このような特徴的な雲をトラバースラインといいます。
「6」「7」水蒸気画像を見ると、低気圧の南から東側にかけて、[暗域]が広がっています。つまり、[乾いた]空気の流入を示唆しています。
[8][9]潮岬と名瀬の観測値を見ると、風速がいずれも[30]ノット、気温は潮岬が15.0℃、名瀬が13.2℃なので、気温差は[1.8]℃となります。
[10]850hPaにおける温度移流が強いか、弱いか。潮岬は風向が等温線を横切っていますが、名瀬は微妙ですし、等温線の間隔が広いので、温度移流が強いとは考えられない。ということで[弱い]が正解です。
[11][12][13]これを見よ と言わんばかりに、八丈島の天気記号が拡大されています。これを見ると、気圧が[0.1]hPa[下降]していることがわかります。現在天気は、正確には「前1時間以内に止み間のない並の雨」ですが、解答欄の幅からすると[並の雨]でいいでしょう。
850hPaと300hPaの間の平均的な大気の状態が暖気移流または寒気移流のどちらかであるか答えよ。聞きなれない言い回しですね。
問題の意図を汲み取れず、私は本番で、
移流の種類:暖気移流
理由[850hPaでも、300hPaでも風向が等温線を暖気側から寒気側に横切っているため。]
と書いてしまいました。
書いていることは間違ってはいないと思うのですが、「平均的な大気の状態」とは、850hPaから300hPaの間の鉛直方向の風向の変化に着目せよということです。つまり、「下層から上層に向かって風向が時計回りに・・・」という決まり文句です。
解答例は、
移流の種類:[暖気移流]
理由[下層から上層に向かって風向が反時計回りに変化しているため。](28字)
でした。
「鉛直方向の風向の変化に着目」と書いてくれれば、そう書くのに。
ちゃんと、天気図でも状況を確認しておきましょう。
850hPaでは南東の風ですが、300hPaでは南の風。確かに上層に向かって反時計回り変化しています。
温度風ベクトルの原理から、暖気移流に間違いないですね。
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