第47回 気象予報士試験 実技 <解いてみよう> 実技1問4
- 2017.10.05
- 天気 気象予報士
- 第47回気象予報士試験, 気象予報士実技試験, 第47回気象予報士試験実技1
実技1問4
[1]図12を用いて、6日の夕方から夜のはじめ頃にかけて横浜付近で強い雨となった要因の一つとして考えられる風向分布の特徴を、都道府県名を示して30字程度で述べよ。
強い雨の要因となる風向分布といえば、「収束」です。“横浜付近で強い雨となった”とあるので、その近くで収束が発生していないか、血眼になって探します。
よ~く、風向の向きを見ると、横浜付近、都道府県でいうと、神奈川県で、北~北北西の風が回り込むように吹き込んでおり、北東~東北東から吹く風とぶつかって収束が発生しているように見えます。結構細かい解析が必要です。私は本番で、この収束を見つける事ができず、別の答えを書いてしまいました。
解き直しをした、私の解答
[神奈川県で、北北西の風と北東~東北東の風が収束している。](28字)
解答例は、
[東京都から神奈川県にかけて北東風と北風との収束がみられる。](29字)
同じ状況を言っているのに、若干表現が違いますね。
拡大して風向を一つ一つみてみました。細かい。細かすぎる。
確かに、東京都でも収束が発生していて、風向は北東と北。でも、神奈川県内では、北北西と東北東の風が観測されている。。。私の解答がどのように採点されるのでしょうか。
温度分布の違いを問われているので、等温線に注目して見比べてみます。
すぐに気づくのが、等温線の間隔の違いです。6日19時に比べ、7日8時は等温線の間隔がゆるくなって、南北の温度傾度が小さくなっています。これについて答えます。
私の解答
[6日19時は南北の温度傾度が大きいが、7日8時には小さくなった。](32字)
解答例
[南北の気温差が明瞭であったが,ほぼ同じ気温となっている。](28字)
“ほぼ同じ気温になった”とまで言っちゃいますか。まあ、でも確かに千葉県内の温度差は最大でも1℃程度です。南北の気温差が小さくなって、安定した状態になったということですね。
一日の時間細分区で、明け方は、午前3時~6時、夜のはじめ頃は、18時~21時の間を指します。実際にその時刻における、高度3km付近の風向・風速を比較してみます。
6日夜のはじめ頃に南南東~南東の風で、25kt~30ktあった風が、7日明け方には東北東~東の風に変化して、5kt~15ktに弱まりました。この変化を答えます。
私の解答
[風向が南東から東に変化して、風速が小さくなった。](24字)
解答例は
[南東または南南東の風から、東よりの風に変わり弱まっている。](29字)
でした。
私の解答は、与えられた字数に対して、字数が少ないなと感じてはいたのでずが、風向をもう少し丁寧に記述したほうが良かったのですね。いつも、字数が足りないときに、風向について丁寧に記載するか、風速について数値を含めて書くのか、はたまた、“非常に”や“急速に”などの修飾語を加えて文字数をかさ増しするか、判断を迷います。
この問題で言いたいことは、南東から吹いていた風が東よりの風に変化して風速が弱まることで、南からの暖湿流が弱まって、大雨が降り続く可能性が低くなった。ということです。
東京および横浜の降水と防災情報に関する以下の問いに答えよ。
[1]表1 を用いて、東京の前3 時間降水量の最大値とその出現日時、横浜の前1 時間降水量の最大値とその出現日時を答えよ。なお、降水量は四捨五入により1mm 刻みで答えよ。
この問題は、グラフの数値を読み取って、足し算するだけなので、時間さえ残っていれば誰でも解ける問題ですね。
東京の前3時間雨量は、グラフをザッと見ると、21時と22時の雨量が突出して多い、隣り合う時間の20時と23時を比べると、23時のほうが多いので、21時~23時の前1時間雨量を足せば求まります。
東京の前3時間降水量の最大値[6]日[23]時までに、[41]mm
横浜は前1時間降水量の最大値なので、グラフをそのまま読むだけです。
横浜の前1時間降水量の最大値[7]日[19]時までに[23]mm
なお、前1時間雨量とは、観測時刻の前1時間に降った降水量のことなので、横浜で19時に観測された23mmの降水量は、18時~19時までの1時間に降った降水量です。東京で観測された41mmの降水量は、20時~23時までの3時間に降った降水量です。グラフの時刻だけ見ていると間違いそうになるので、注意です。
東京都千代田区および横浜市の降水量による大雨注意報・警報の基準はそれぞれ下の枠内に示す通りである。[1]を用いて、表1の期間に東京および横浜では「a:大雨注意報基準に到達」,「b:大雨警報( 浸水害) 基準に到達」,「c:いずれの基準にも達していない」のうち,それぞれいずれに該当するかを一つ選び記号で答えよ。
【横浜市】 大雨注意報:30mm/h, 大雨警報( 浸水害):45mm/h
これはもうボーナス問題ですね。
東京の3時間雨量の最大値は41mm、横浜の1時間雨量の最大値は23mmなので、どちらも、警報・注意報の基準には達していません。
東京:[c] 横浜:[c]
これは、想像力と知識の問題です。起伏の多い地形では、どのような災害が発生しやすそうか。
私は本番でこのように書きました
[起伏が多い地形では傾斜地が多く、平坦な地形に比べ土砂災害が発生しやすい。]
しかし、違っていました。答えは、起伏の多い地形では、「降った雨が流れて低い土地に溜まって、短時間のうちに浸水などに被害が発生する」というのがキーワードでした。
それを踏まえて書いた、私の解答
[起伏が多い地形では水が斜面を流れ下り、低地では短時間で浸水のリスクが高まる。](38字)
解答例は
[横浜市では傾斜が大きい地域が多く、降った雨が短時間に流下し、はん濫しやすい。](38字)
でした。
大雨警報は、道路の冠水や地下街の浸水などの「浸水害」と、土砂崩れや土石流などの「土砂災害」、この2つの災害に警戒を呼びかけるために発表されます。この土砂災害の発表基準に用いられているのが、土壌にどれだけ水分が含まれているかの指標となる、土壌雨量指数です。
指標:土壌雨量指数 災害名:土砂災害
-
前の記事
第47回 気象予報士試験 実技 <解いてみよう> 実技2問1 2017.10.05
-
次の記事
第47回 気象予報士試験 実技 <解いてみよう> 実技1問3 2017.10.05
いつもお世話になっております。
問4(2)②で大雨警報(浸水害)の基準で降水量が示されていたのですが、大雨警報の基準で降水量はあるのでしょうか。表面雨量指数と土壌雨量指数のみかと思っていたのですが…
調べたのですが、降水量は出てきませんでした。
よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、平成29年度より基準が変わり、新たな指標である表面雨量指数が導入されました。
気象庁の説明資料↓
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/hyomenshisu.html
現在は、表面雨量指数と土壌雨量指数の2つの指標により大雨警報の基準が定められています。